分譲地を仲介して両手の報酬をいただく手順を解説【宅建士入門編】
- 分譲地を仲介する具体的な方法を知りたいな
- 分譲地を仲介する流れを知りたいな
- 分譲地を仲介して売主・買主の両方から報酬をもらえるの?
こんな疑問に答えます。
この記事は不動産会社で働く新人さんへの記事となります。
不動産屋は今だにFAX使ったりと、古い体質が残っていますよね。
新人教育もそうで、見て覚えろってところも今だに多いです。
ボクの時もそうでした。
ですが不動産屋の仕事内容をググっても具体的な情報は手に入らないですよね。
ですので今回ボクが、分譲地の仲介と報酬について掘り下げています。
仲介する時の報酬は、両手が最高ですので、ぜひ参考にしてください。
- 現役の宅建士で管理物件の家賃収入総額は月1千万円以上
- 毎年の売買取引総額が1億円以上の不動産マン
- 売買も賃貸もマルチにこなす不動産マン
分譲地を仲介する方法が分かる
分譲地を仲介する流れが分かる
売主・買主、両者から仲介手数料をもらうやり方が分かる
分譲地の仲介とは
分譲地の仲介は、不動産会社から見たら簡単な仕事です。
なぜならば、重要事項説明書(重説)や契約書は1番初めに分譲地の区画を購入された時に一度作っているからです。
ですので正確には、分譲地の仲介は2番手なら簡単ということです
2番手は売主からその書類関係の雛形をいただいて作るだけで良いからです。
そんなおいしい仕事である分譲地の仲介について、これから深掘りしていきます。
分譲地とは
分譲地とは、家を建てる目的で土地を区画整備して販売しているところを言います。
分譲地を作って販売するのは、不動産会社か建設会社といった宅建業者になります。
宅建業者でない会社の分譲地の販売は、宅建業法上違反になります。
詳しくいうと、一般の人は1度きりなら大丈夫ですが反復継続すると違反になります。
販売方法は売主(宅建業者)が直接販売しているところもありますが、不動産会社が仲介に入っている場合もあります。
仲介とは
仲介とは、媒介とも言い
売主と買主の間に入り両者の契約を成立させることを言います。
売主や買主のために書類作成や現場に入るため、仲介手数料が発生します。
この仲介は主に不動産屋がやります。
分譲地の仲介のやり方
分譲地の仲介のやり方はシンプルです。
売主に分譲地を紹介して良いか確認し、大丈夫ならお客さんを案内するだけです。
もちろんダメなところはありませんが、その分譲地を自社のホームページやポータルサイトに掲載することはNGのところは多いです。
なぜなら売主が直接分譲地を売った方が、仲介に入った不動産会社に手数料を払わなくてすむからです。
ここをもっと掘り下げます。
分譲地の売主に確認する事項
売主に確認する事項は下の2つです。
- 分譲地の広告は可能か
- 分譲地の契約が成立した場合の報酬はどうなるか
広告はホームページやポータルサイトやチラシになります。
仲介手数料は事前に売主に請求できるかを確認します。
契約が成立しても、報酬をもらえないなんてことがないようにするためです。
分譲地を買う人はどんな人
分譲地のお客さんは、基本的に家を建てて住む人になります。
不動産会社が分譲地を紹介するお客さんは下の2パターンになります。
- 直接分譲地が欲しい人
- お客さんから依頼を受けたハウスメーカーの人
不動産会社の報酬
不動産屋は売主からも買主からも報酬をいただくことができます。
ただし全て両者(売主と買主)からいただけるわけではないです。
これを、不動産業界用語で両手、片手と言います。
両手の仲介手数料
両手とは
売主からも買主からも報酬をいただくことです。
仲介手数料はきちんとお支払いします。

仲介手数料がかかるのですね。分かりました。

やった!両手だ
これが両手の報酬です。
ただし、どちらにも事前に了承を得ておく必要があります。
この了承を得る契約書が媒介契約書になります。
報酬額は宅建業法で決まっています。
片手の仲介手数料
片手とは下の内容になります。

すみませんが、仲介手数料は払えません。
この場合、売主は仲介手数料を払わないので、買主に仲介手数料を請求します。
逆のパターンもあります。(買主には請求せず、売主から仲介手数料をもらう)
買主側に請求しない場合の多くは、売主と仲介する不動産会社がグループ会社だったりします。

分譲地を仲介して両手の報酬をいただく手順

先ほども言いましたが、両手は売主からも買主からも事前に了承を得ておかなければいけません。
ここを掘り下げます。
1.見積書の作成
まずは買主(お客さん)への見積りです。
見積りの時点で、仲介手数料をいただくことを明示しておかなくてはなりません。
不動産会社は仲介手数料を買主から必ずもらえるものではありません。
事前に見積書に入れて説明しておくことが必要です。
ここで仲介手数料のことを明示しておかないと、後々聞いていないといったトラブルになってしまいます。
また仲介手数料は宅建業法で決まっていますが、その上限の金額で良いかも事前に確認しておくことが大切になります。
あとで正式に媒介契約書で契約を交わしますが、見積りで事前に伝えておくことが大切です。
分譲地売買の見積書は水道加入金や下水道使用料金、所有権移転費用や各税金がかかりますので、分かっているところは事前に正確な数字を明示しておきます。
未確定なところは約〇〇円など概算で記載します。
その際「概算になります。」といった文言を見積書に記載しておく必要があります。
2.売主側へ報酬の確認
また売主側にも同様に、事前に仲介手数料をいただくことの了承を得ておかなければなりません。
売主側とも媒介契約書は交わしますが、事前に口頭で良いので確認しておきます。
同様に、宅建業法で決まっている上限の金額で良いか事前に確認しておくことが大切になります。
3.買受申込書
見積書の金額でお客さんが買いたいとなったら、次は申込書(買受申込書)を書いてもらいます。
買受申込書は、買主が売主へ渡すものになります。
記載事項は下記になります。
- 申込日
- 買受人の住所・氏名・捺印
- 物件の金額
- 物件の表示(所在、地目、区画番号、地積)
- 取引条件(契約希望日、手付金、お引渡日、条件)
仲介業者が買主から申込書を記入してもらいますので、仲介業者の免許番号と社名を申込書の下部に記載しておくと良いです。
条件:融資未承認の場合は白紙撤回となります。
融資の場合はこの文言を申込書の条件に入れてください。
引渡日は分からない場合は空欄で構いません。
手付金は必ず入れてもらいましょう。
ただし契約はしていないので、渡しただけではまだ買主側は解約はできます。
4.重要事項説明と契約締結までの流れ
申込をしたお客さんは、次は銀行の融資の審査を受けるのが一般的な流れになります。
一括現金払いの方は大丈夫ですが、ほとんどの方は銀行融資を受けられますので、銀行の融資審査の合否を待ちます。
融資が決まれば、次は重要事項説明と契約日の日程を決めます。
この重要事項説明が重要になります。
これは宅建士にしかできません。
なぜなら重要事項説明書で専門的な物件情報を説明しなければならないからです。
この説明で納得してもらえないならば、契約してもらわない方が良いです。
不動産は引き渡した後のトラブルが一番厄介ですので、まずは重要事項説明を先に受けてもらい納得いただけたら契約してもらいましょう。
重要事項説明書の実際にあったトラブルの例をあげると
水道の配管が他人の敷地を通って購入する土地に引かれていた場合などがあります。
この場合ですと、水道管のメンテナンスに関する金銭トラブルが起こる可能性があります。
ですので、重要事項説明は契約の前に行なっておきます。
とはいえ、不動産屋さんも忙しいので、重要事項説明と契約を一緒の日にするところが多いです。
重要事項説明を受けて納得いただいたら、次は本題の契約になります。
宅建試験で散々勉強する内容ですが、契約締結は必ず事務所で行なってください。
喫茶店などで行うとクーリングオフされることがありますからね。
ちなみに買主が宅建業者の場合は、重要事項は不要になりますからね。
宅建業法で出てくる「8種の制限」のところです。
両手仲介の必要書類は下になります。
- 一般媒介契約書 4部(売主・仲介業者A・買主・仲介業者A)
- 重要事項説明書 3部(売主・買主・仲介業者A)
- 売買契約書 2部(売主・買主)※仲介業者Aはコピーを控える
重要事項説明、契約手続きの日が決まったら、事前にお客さんに必要な持ち物を文書でお伝えしておいてください。
事前に必要品を用意してもらわないと、契約当日に足りないものがあり契約ができないといったことになり得る可能性があるからです。
また契約をする日は、仏滅とかは絶対ダメですからね。
日本はまだこの風習が色濃く残っているので従いましょう。
契約は基本的に、売主・買主・仲介業者3者が集まって行います。
重要事項説明の日に売主は買主から手付金をいただきますので、領収書を準備しておく必要があります。
手付金は現金でも振込でも、どちらでも構いません。
重要事項説明を買主に行い、続けて契約書の説明、そして買主の署名押印が行われ契約が締結します。
契約が締結すれば、原則、買主は解約できません。
しかし解約する方法はあります。
それは
手付金を放棄すれば解約はできます。
また売主からも解約はでき、その場合は手付金の倍額を支払えば解約できます。
5.物件の引渡し
分譲地の引渡しは、手付金を引いた残りの売買代金をいただくことで成立します。
売主は権利書を渡し、買主は残金を支払い同時履行で成立します。
場所は、一般的にお客様が融資を受ける銀行で行います。
メンバーは
- 売主
- 買主
- 仲介会社
- ハウスメーカー
- 司法書士
が一般的です。
大体の人が家もローンを組んで購入するため、ハウスメーカーもこの時支払いを受ける場合が多いです。
支払いが完了したら、今度はそのまま司法書士が登記移転の手続きをする流れになります。
分譲地を仲介して両手の報酬をもらうのは邪道?

分譲地を仲介して両手の報酬をもらうのは邪道なのか?
結論、邪道ではありません。
宅建業法で認められているからです。
不動産会社が仲介業務で一番儲けることができるのは、この両手仲介した時です。
売主からも買主からも報酬をいただけますからね。
ですので、どこの不動産会社も両手を狙いますし、両手仲介は不動産取引では一般的です。
次で両手仲介のメリットをご紹介します。
両手仲介するメリット
- 報酬を倍もらえる
- 物事がスピーディーに進む
- 値段交渉ができる
①不動産仲介会社の報酬を倍いただける
売主・買主両方から仲介手数料をいただけるので、倍の報酬をもらうことができます。
②物事がスピーディーに進む
売主→ 仲介業者 ←買主
といったように1社しか仲介しないので、スピーディーに物事が進みます。
売主→ 仲介業者 →← 仲介業者 ←買主
この場合は2社仲介が入り、報酬も片手になり、時間もかかります。
③価格交渉ができる
両手で報酬をいただく分、価格交渉ができます。
売主からも仲介手数料をいただく分、買主からの報酬は2%にするなどして、お客様の負担を軽減することができます。
両手仲介する際の注意点

両手仲介は、不動産を高く売りたい売主と、安く買いたい買主の間を取りまとめる仲介業です。
相反する2者ですので、もちろん妥協は必要になります。
売値で納得いただける買主さんなら問題はないのですが
なんだかんだ理由をつけて値引き交渉をしてくるお客さんもいます。
この場合は注意が必要です。
なぜならば、こういったお客様は契約後にも難癖をつけてくる可能性があるからです。
契約が締結し、引渡しが終わったにも関わらず「やっぱりこの土地は駄目だった」などと言いがかりをつけてきたりします。
もちろん人生で数回買うか分からない大きな買い物ですので、言いたくなる気持ちは分かりますが、そんなことを言われたら誰でも嫌になります。
不動産業は、人生で一番大きな買い物をする人をサポートする仕事です。
中途半端な感じのお客さんには要注意です。
納得して買っていただける方だけをサポートするようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産の両手仲介は、実務でもやりがいがありますし、報酬も2倍とたくさんいただけます。
ですが相反する2者の仲介ですので、責任を持ってしっかりとした対応が必要になります。
売った方も買った方も気持ちの良い取引になるようにサポートしてください。