・どうすれば自分に自信がつくんでしょうか?
こんな疑問を解消します。
PTAの役員会の雑談時、こういった悩みをお聞きしましたので、今回は子供の自己肯定感について掘り下げていきます。
さっそくですが、下記内容は、自己肯定感の意識調査内容です。
国立青少年教育振興機構が日本・韓国・中国・米国の高校生を対象に行なった意識調査(2018年)によると、日本の高校生の自己肯定感はほかの国に比べてかなり低いことがわかっています。
同調査の中で、日本の高校生のうち、「私は価値のある人間だと思う」と答えたのは44.9%(韓国83.7%、中国80.2%、米国83.8%)、「私はいまの自分に満足している」と答えたのは41.5%(韓国70.4%、中国62.2%、米国75.6%)という結果が報告されています。
これは高校生の意識調査ですが、小学生や中学生の段階でも低いことが推測されます。
もしかしたら、うちの子は自己肯定感が低いのかも・・・と思ってしまっても、無理はありません。
今回はがっちり自己肯定感について掘り下げました。大人にも当てはまる内容もありますので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
この記事を最後まで読んで、おこさんに自信を付けてもらえれば幸いです。
本記事の内容
自己肯定感の低い子どもの3つの特徴
自己肯定感の低い原因
自己肯定感を高める7つの方法
自己肯定感とは
そもそも、自己肯定感とは何でしょうか。
実用日本語表現辞典によると、以下のように説明されています。
自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。 自己否定の感情と対をなす感情とされる。
出典:実用日本語表現辞典
ユニセフ・アジア親善大使として世界中の子供たちと触れ合うアグネス・チャンさんは「自己肯定力は子供たちが幸せな人生を送るための基礎」と語ります。
自己肯定感があってこそ、しつけや学習も身についていくものです。
自己肯定感が低い子どもの3つの特徴
自己肯定感が低くなると、自分が「価値のある存在」、「大切にされている存在」だと感じられなくなり、子供自身の成長にも大きな支障をもたらします。
自己肯定感が低い子どもには以下のような3つの特徴があります。
自己肯定感が低い子どもの3つの特徴
- 自信がなく途中であきらめやすい
- イライラして暴力的になりやすい
- 親に依存しやすく何度も愛情を確認する
一つひとつわかりやすくご説明します。
1.自信がなく途中であきらめやすい
自己肯定感が低い子供の多くは自分の価値を認められず、極度に自信がないのが特徴です。
自信がないので何事にもチャレンジする気力がわかず、「つまんない」とか「できない」というのが口癖になりやすいです。
また、何かにチャレンジしても失敗するとすぐに投げ出したり、あきらめたりしやすく、辛抱してやり続けることが苦手な傾向もあります。
2.イライラして暴力的になりやすい
自己肯定感が低い子供は、他の子供に対してコンプレックスを抱きやすく、それがイライラや暴力になって表れることもあります。
例えば、些細なことで友達とトラブルになったり、かんしゃくを起こしたりしやすくなります。自分の感情をコントロールするのが苦手であるともいえるでしょう。
何かあるとすぐ手が出てしまうという子供の行動は、自分のことを認めてほしいという気持ちの裏返しでもあります。
3.親に依存しやすく何度も愛情を確認する
自己肯定感が低い子供は、他者に対して依存的になりやすいものです。特に母親に対して依存しやすく、必要以上に何度も愛情を確認したり、赤ちゃんのように甘えてきたりする場合もあります。
多少の甘えはよいのかもしれませんが、長く続くと、家にひきこもりやすくなったり、勉強への集中力も低下したりします。
自己肯定感が低いと将来に対しても希望を持てなくなり、意欲が低下する、投げやりになる、テレビやゲームに依存するなどの特徴が表れてきたりもします。
では、なぜ子供たちの自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか。次に、子供の自己肯定感が低い原因について見ていきましょう。
子供の自己肯定感が低い原因とは?
子供の自己肯定感が低い原因には以下の3つが考えられます。
1.幼少期の接し方・子育て
子供の自己肯定感は、幼少期の親の接し方や子育てによる影響が大きいと言われています。
以下のような接し方や子育ては、子供の自己肯定感を低下させる原因になりやすいものです
子供の自己肯定感を低下させる接し方・子育て
子どもの感情を受けとめない・否定する
子どもに過度な期待をかける・ほめすぎる
子どもを他の兄弟や友達と比べる
子どもに「早く」「急いで」「だめ」と言うのが口癖になっている
子どもが失敗したときについつい怒ってしまう
子供の気持ちに寄り添い、「できた」という成功体験を積み重ねていくことが自己肯定感を育むことにつながります。
逆に、子供の感情を否定し、過度な期待をかけてだめなところばかりを指摘してしまっては、子供の自己肯定感を低下させる大きな原因になってしまうのです。
2.「人に迷惑をかけてはいけない」という考え
日本人特有の考え方に「人に迷惑をかけてはいけない」というものがあります。
この考え方が日本の子供たちの自己肯定感を低くしていると、米国発祥の国際ニュースメディア「Newsweek(ニューズウィーク)」は指摘しています。
日本で「他人に迷惑をかけない子に育ってほしい」と思う母親の多さは異常なレベル。この考え方は、子どもの自己肯定感を高めるのに必要な「自主的な行動を通した成功体験」を積ませることとは相反する思想なのです
ベネッセ教育研究開発センターが2005年、日本・韓国・中国・台湾の母親に行なった調査によると、「(子供に対して)他人に迷惑をかけない人になってほしい」と答えたのは日本71.0%、韓国24.7%、中国4.9%、台湾25.1%と、日本が突出していることが明らかになっています。
日本は歴史的に「五人組」や「村八分」などに見られるように、人に迷惑をかけないことが最高の徳目として評価されてきました。
しかし、人は誰でも迷惑をかけながら成長するものです。
子供に大人の常識を当てはめてしまうことが、子供の自主性をなくし、自己肯定感を低下させる原因になっていると考えられています。
3.そもそも親に自信がない
幼児・小学生向けの教育サポートを行う幼児教室ひまわりの熊野貴文塾長は「親自身に自信がない」のが、子供の自己肯定感の低さにつながっていると述べています。
子供をほめたり肯定的な声かけをしたりして、子供に自信を持たせる方法はよく知られています。
しかし、そもそも声かけをする親に自信がなければ、どんなに肯定的な声かけであっても、子供には伝わりにくいものです。
例えば、「あなたはできる!」と言うときに、親が確信を持って語れば、子供もそれを素直に信じられます。しかし、親に自信がなかったり、かえってコンプレックスなどを抱えていたりすれば、「あなたはできる!」と言われても、子供にはそうは思えないのです。
このように、親自身の自信のなさが、子供の自己肯定感の低さにも大きな影響を与えているのです。
子供の自己肯定感を高める7つの方法
それでは、子供の自己肯定感を高めるにはどのようにしたらよいのでしょうか?
ここでは具体的な7つの方法についてご紹介します。
1.子供の自己肯定力をあげる3つの言葉を繰り返す
子供の自己肯定力をあげる魔法の言葉が、「ありがとう」「あなたが生まれてきてくれてうれしい」「大丈夫」の3つです。
これは親が子供に伝えられる一番の愛のメッセージです。この3つの言葉を、毎日心を込めて子供に繰り返し伝えましょう。
「ありがとう」「あなたがいてくれてうれしい」という言葉は、子供の心の中に「自分はいてもいい存在なんだ」「大切な存在なんだ」という安心感をもたらします。
また、子どもがイライラして感情を爆発させているときは「大丈夫、大丈夫だよ」とやさしく励ましてあげることで情緒が安定するようになります。
まずは、この3つの言葉を繰り返し、心を込めて伝えることから始めましょう。
2.スキンシップの時間を増やす
子供の自己肯定感は親子のスキンシップとも深いかかわりがあります。
近年、オキシトシンというホルモンが注目されています。オキシトシンは、幸せホルモンとも呼ばれ、人と人のスキンシップによって分泌されます。
オキシトシンが分泌されると、幸福感や他者への信頼感が高まり、学習意欲や記憶力の向上などさまざまな効果をもたらします。
手をつないだり、抱っこ、ハグ、マッサージをしてあげたりするなど、子供との触れ合いを積極的に増やしていきましょう。
親子の触れ合いがお互いの信頼感や幸福感を高め、自己肯定感を育むことにもつながります。
3.子供のありのままを受け入れる
子供の自己肯定感を高めようと、親は声かけやスキンシップなどを意識するものですが、ありのままの子供の姿を受け入れるという姿勢も必要です。
子供のありのままを受け入れるのに、一番よい方法は、子供の気持ちを共感してあげることです。
たとえ子供が否定的なことを言ってきたとしても、それをいったん受け止めて、「そうなんだね」と共感してあげてください。
よくほめることが大切と言いますが、できたことばかりをほめていると、できなかったときに、子供は「自分は価値のない存在なんだ」と思いやすくなると言います。
親は「できる自分」をほめてくれるのだと思い込んでしまうのです。
それは、いわば「条件つき」の愛です。子供の自己肯定感を育むためには、「無条件に愛されている」という実感が必要です。
そのためには、まず共感してあげることがとても大切なのです。
4.チャレンジするプロセスを認める
子育てに熱心な親ほど、よくできたという「成果」や「能力」をほめてしまいがちです。
しかし、本当に大切なのは、チャレンジするプロセスを認めてあげることです。
これまで5万人の子どもと向き合ってきた放課後NPOアフタースクール代表の平岩国泰さんは「子供が自己肯定感を持つ大事な条件とは、子供が『自分が成長したら喜んでくれる人がいる』ことを知っていること」と話します。
親が「成果」ばかりを認めてしまうと、子供たちはいつも、「成果をあげなければ、親から認めてもらえない」という焦りや不安を持つようになります。成果ではなく、チャレンジそのものを認めてあげることが大切です。
平岩さんは、「高すぎる目標設定」も子供の自己肯定感を下げる要因になっていると指摘しています。
最初のうちは「できるとわかっていることを目標にして、できたら認める」のがおすすめの方法なのです。
5.子供にあえて干渉しない環境をつくる
子どもの自己肯定感を育むためには、あえて干渉しない環境をつくることも一つの方法です。
例えば、子供がおもちゃで遊んだり絵を描いたりするときに、あえて親がかかわらずに自由にさせるというものです。しかし、放任主義のようにほったらかしにするわけではありません。
自由に遊ばせながらも、子供が自分の力でおもちゃを組み合わせたり、絵をうまく描けたりしたときには、すぐ「できたね!」と声かけしてあげるとよいのです。
親が子供の小さな達成も見逃さないことがポイントです。小さな達成感の積み重ねが自己肯定感を高めることにつながります。
6.お手伝いを頼んで感謝を伝える
「できることをさせて、できたら認める」の一番よい実践方法は、お手伝いを頼むことです。
そして、子供がお手伝いをできたら、ほめる代わりに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えてあげてください。
何も難しいことを頼む必要はありません。簡単にできることでも、人は感謝されたら達成感を感じるものです。
人の役に立ったという達成感や喜びが自己肯定感を高めることにつながります。
7.時には自信を持って叱る
子供をまったく叱らずに育てる、というのはかなりハードルが高い目標です。
先ほどご紹介した幼児教室ひまわりの熊野塾長は次のように話します。
悪いことはしっかりと叱らないと、いつまでも状況が変わりません。
つまり、「子供をしっかり叱った結果、叱らなくてすむようになる」ということなんですね。
叱らない子育てに至る過程に、叱るというプロセスがあるんです。
(中略)
だから、子供を叱ればいいんです。
大切なのは、「叱ってはいけないんじゃないか」と不安な気持ちで叱るのでなく、「叱るのがあたり前だろ!」と自信を持って叱ることです。
子供の自己肯定感が低い原因の一つに、「親に自信がないこと」をお話しました。
親の自信は子供にも伝わります。子供は私たちが思っている以上に、親の心の動きを敏感に察するものです。
ほめるのも、叱るのも、親が自信を持って接することが、子供に自信を与え、自己肯定感を高めることにもつながります。
まとめ
最後に、今回ご紹介した「自己肯定感が低い子供の3つの特徴」と「子どもの自己肯定感を高める7つの方法」についてまとめておきます。
1.自信がなく途中であきらめやすい
2.イライラして暴力的になりやすい
3.親に依存しやすく何度も愛情を確認する
1.子供の自己肯定力をあげる3つの言葉を繰り返す
2.スキンシップの時間を増やす
3.子供のありのままを受け入れる
4.チャレンジするプロセスを認める
5.子供にあえて干渉しない環境をつくる
6.お手伝いを頼んで感謝を伝える
7.時には自信を持って叱る
子供の自己肯定感を高めるためには、日々の積み重ねが大切です。
完璧な親になる必要はありません。まずはできることからやってみましょう。
そして、子供のために頑張っている自分自身もぜひ認めてあげましょう。あなたが幸せで肯定的な人生を歩んでいることが、子供にとっても一番大切なことなのですから。